山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)では、平成27年2月27日(金)に「ルーブリック事例報告ワークショップ―『山口と世界』授業実践などを例にして―」を開催した。本ワークショップには学内外から合計38名、中国、九州、関西、東北の各地区からの参加があった。本学では、2013年度から大学教育学会課題研究「学士課程教育における共通教育の質保証」との連携により、初年次教育科目『山口と世界』を対象にしたルーブリック開発・実践活用を進めてきた。本ワークショップでは、『山口と世界』の事例報告に加え、名古屋商科大学経営学部 亀倉正彦教授から同大学のルーブリック開発取組を紹介していただき、京都大学高等教育研究開発推進センター 松下佳代教授からのアドバイスをいただきながら、ルーブリックの活用の方法や課題等について、参加者とともに理解を深めた。

 冒頭、糸長雅弘 大学教育機構大学教育センター長より開会の挨拶があり、本学での取組概要や本ワークショップがAP事業の一環として行われることが説明された。

 第一部の事例報告では、林透 大学教育機構大学教育センター准教授より、「『山口と世界』コモンルーブリック開発の経緯と課題」と題して報告があった。共通教育科目『山口と世界』における、ルーブリック開発の経緯が試作、開発、活用の三つのステップで紹介された。次に、星野晋 大学教育センター講師より「学んで欲しいこと評価できることの擦り合わせは可能か~『山口と世界』の事例から~」と題して報告があった。報告では、コモンルーブリックに基づき科目の学習目標や学習内容について説明があり、授業のデザインについて紹介された。第一部の最後の報告として、亀倉正彦 名古屋商科大学経営学部教授より、「名古屋商科大学におけるルーブリック活用実践事例」と題して報告があった。ルーブリックの8分野16項目とルーブリックに基づく指導評価表(試行中)について説明があり、今後の計画、実践におけるルーブリックの活用、また、教員が抱える課題への対応などの共通教育におけるルーブリック活用のマネジメントについて報告があった。

 第二部では、まず、松下佳代 京都大学高等教育研究開発推進センター教授より、「ルーブリックの開発・活用の課題にどう応えていくか―コメントとアドバイジング」と題して、それぞれの事例報告についてのコメント、アドバイスが共有された。グループワークはグループ評価が原則であることや、貢献度のピア評価、あるいはグループワークそのものではなく、グループワークで学んだことの評価などについて各種のコメントがあった。また、パフォーマンス評価についても、常に広義のパフォーマンス(プロセス)の評価が必要ではなく、適宜、プロダクト(狭義のパフォーマンス)を評価することも重要であることが指摘された。また、参加者同士によるグループ対話があり、A~Fに分かれて活発な対話がなされた。