平成29年11月10日(金)に、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)&医学教育センター共同企画 FD・SDワークショップ『ルーブリックを活用した学修評価ワークショップ~ルーブリックの観点と記述に着目して~』が、学内外から合計41名(学内23名(教職員21名、学生2名)、学外18名(教職員18名))の参加者を集めて、本学吉田キャンパス共通教育棟26番教室(アクティブ・ラーニング教室)にて開催された。本ワークショップは、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)の一環としての実施であるとともに、医学教育センターとの初めての共同企画での実施となった。

 冒頭、菊政 勲 山口大学 大学教育機構 大学教育センター長より開会挨拶があり、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP)では、学修成果の可視化の取組として、学生の学修行動や成果物を評価するルーブリックの開発・実践・検証の作業を進めるとともに、アクティブ・ラーニングの取組が共通教育・専門教育を通じて広がる中で、学修評価のためのルーブリックの活用実践が共通教育だけでなく専門教育に広がりつつあり、今回のワークショップでは、ルーブリックを活用した学修評価に焦点を当て、実践事例紹介のほか、ルーブリックの観点や記述の調整を含めた諸課題について検討したいとの趣旨説明があった。

 導入レクチャーでは、俣野 秀典 高知大学地域協働学部講師より、「ルーブリックによる学修評価を知る、活かす」と題して、ルーブリックに関する基礎知識をレクチャーしていただいた。ルーブリックの形式(評価観点・評価尺度・評価基準)について概略説明の後、フロアの参加者に「何のために成績評価は必要か」という問いを投げ掛け、グループテーブルでの参加者同士のアイスブレークを兼ねた意見交換を行った。

 事例紹介では、藤宮 龍也 山口大学大学院医学系研究科教授より、「医学科チュートリアル教育におけるルーブリック活用実践」と題して、2017年3月の医学教育モデルコア・カリキュラムの改訂に伴う医学教育改革や2019年度受審予定の国際基準認証に向けた動向などを紹介しながら、医学教育全体に、伝統的なプロセス基盤型教育からアウトカム基盤型教育に移行する必要性に迫られていることが説明された。医師として求められる基本的な資質・能力が明確化される中で、実践力や表現力などを評価するツールとしてルーブリックの導入に着目し、医学科チュートリアル教育においてルーブリックを活用した成績評価を行っている複数科目の実践事例が紹介された。

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 後半のワークショップ「ルーブリックの観点や記述を考える」では、俣野 秀典 高知大学地域協働学部講師のファシリテーションにより、まず、ルーブリックに関する詳細や作成上の注意点について説明があった。特に、ルーブリックについて、学生との共有が大切であり、次の学習の方向性を示す指針となることが説明されたほか、目標規準である「評価規準」と達成基準である「評価基準」の意味について解説があった。その後、幾つかの参考事例を紹介しながら、レポートを評価する際の観点やレベルごとの評価基準の記入を行うワークに取り組んだ。さらに、「ご自身の教授活動や職務の中でルーブリック評価をココに使って みよう」というテーマで、参加者同士が振り返りを兼ねながら意見交換を行った。クロージングでは、俣野先生から、ルーブリック作成・運用のコツ、ペア・モデレ―ションに関する補足説明があったほか、ルーブリックというツールが学生の学習の到達状況を測定するだけでなく、授業や大学の質保証を証明する重要な武器になるとのメッセージがあった。

 最後に、白澤 医学教育センター長より閉会の挨拶があり、アイスブレーク、ミニワーク、振り返りワークを通して、会場一体に、積極的かつ和やかな雰囲気の中で、シート記入、グループ対話が進み、充実したワークショップとなった。

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