2019年7月18日(木)午後、山口大学・大学教育再生加速プログラム(YU-AP) FD・SDワークショップ『「学生調査」入門講座~学生調査の見方、活かし方について考える~』を開催し、学生・教職員 計30名が参加しました。当日は、大学リーグやまぐち関係者や大阪・神奈川など他大学関係者にも足を運んでいただきました。

 当日は、冒頭、山口大学 大学教育機構 大学教育センター 林 透 准教授より、間接評価の代表的手法としての学生調査について説明が行われました。学術的背景として、直接評価との違いやその特性について図示して共有されたのち、文部科学省主導で全国の大学における統一学生調査についての動きが本年度から計画されていることについて説明がありました。更に最新事情として、AP採択校に対するアンケート調査からも、データを取ったものの分析・活用の仕方について対応に悩んでいる大学が多いことが示されました。これらのことを踏まえ、今回のワークショップを通して学生調査についての理解を深めるきっかけを掴み、かつ今後の大学運営・教育改善に活用してほしい旨の話がありました。

 その後、山口大学 大学教育機構 大学教育センター 高林 友美 助教(特命)より、学生調査の基本として「設計・分析・活用」の3点に注目したレクチャー&ミニワークが行われました。設計に関しては、特に質問項目の設定について具体的なポイントが共有されました。参加者がグループになって用意された質問紙を改善するというミニワークでは、ポイントを自分で復習することで理解が深まる様子だけでなく、参加者同士が和気あいあいと所属による視点の違いを話し合う様子が見られました。分析については、統計分析だけでなく基本的な数値まとめにも意味があることが社会調査の実例を通して語られたのち、山口大学のAP事業で行われた分析を参考例に挙げながら、統計分析の手法についても簡単に説明が行われました。実際にデータから分析手法を考えるワークでは、無目的に集められたデータを分析する難しさと、仮説の重要性についてが共有されていました。最後に活用に関しては、1度のアンケート調査では限界があることを示しながら、経年比較や質的データと合わせて、学生の成長を多角的に確認し議論していく材料になることが語られました。

 ワークショップの最後には、学生調査の設計から活用までを各自の組織の文脈に合わせて体験し、課題を共有するためのロジックモデルに関するワークとして、①学生の現状、②各人の思う理想的な状態③その途中に見ることのできる指標、という3つについて考えました。本学教員からは、後輩やTAからの評価も含めて学生の伸びを見ていく可能性が共有され、他大学教員からは、あいさつなどが出来ているかを尋ねることも、組織の教育目標によっては重要であることが指摘されました。これらのように教員が実際に成長した学生を見ていて感じられる指標は、具体的な調査改善につながる意見共有となったことと思います。

 その後、質疑応答として現実問題としての認証評価の話題にも触れられた後、FD・SDワークショップを終了しました。内容の多いワークショップを通して、参加した多くの皆さんのそれぞれの教育実践の参考になる部分が1つでも見つかり、次のステップにつながっていることを願います。

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